教科書 › 第II部 AIモデルの系譜
CHAPTER 16
前史 ── パーセプトロンと二度の冬
1943年、マカロックとピッツが神経細胞を単純な数式で模した。入力に重みを掛けて足し、ある値を超えたら発火する。ここで登場する「掛けて足す」が、以後80年変わらない基本演算になる。
1958年、ローゼンブラットがこれを学習可能にしたパーセプトロン
を発表する。正解と違えば重みを少しずらす、を繰り返せば分類ができる。当時は大きな期待を集めた。
だが1969年、ミンスキーとパパートが限界を指摘する。単層のパーセプトロンではXOR(排他的論理和)すら学習できない。直線一本で分けられない問題は解けないからだ。これが第一次の冬を招いた。
層を重ねれば解けることは分かっていた。問題は、重ねた場合に「どの重みをどれだけずらせばいいか」を計算する方法がなかったこと。
その方法が誤差逆伝播法
である。1986年にラメルハートらが広めた。出力の誤差を、微分の連鎖律を使って入力側へ遡って分配していく。これにより多層ネットワークの学習が可能になった。
しかし再び停滞する。層を深くすると、誤差を遡らせる過程で勾配が小さくなりすぎて消えてしまう(勾配消失)。加えて計算資源もデータも足りなかった。1990年代から2000年代にかけて、ニューラルネットは学術的にも実務的にも主流から外れる。この時期に地道に研究を続けた少数の人々が、後の爆発を用意することになる。
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