教科書 › 第I部 半導体の理論
CHAPTER 11
つくり方 ── ウェハから歩留まりまで
製造の流れを大まかに追っておく。細部を覚える必要はないが、なぜチップが高価なのか、なぜ大きなチップが特に高いのかが分かると、業界の判断が読めるようになる。
STEP 1
単結晶インゴットとウェハ
高純度シリコンを溶かして、巨大な単結晶の円柱を引き上げる。これを薄く切って鏡面に磨いたものがウェハ。直径300mmが主流。
STEP 2
成膜と塗布
酸化膜や金属膜を積み、その上に感光性の樹脂(レジスト)を塗る。
STEP 3
露光(フォトリソグラフィ)
回路パターンを描いたマスクを通して光を当て、レジストを感光させる。ここが最も高度な工程で、EUV(極端紫外線)露光装置は1台数百億円する。
STEP 4
エッチングとイオン注入
感光した部分を現像で除き、露出した箇所を削る。あるいは不純物を打ち込んでn型・p型の領域を作る。
STEP 5
配線
上記を数十回から百回近く繰り返し、トランジスタの層の上に十数層の金属配線を積み上げる。
STEP 6
検査・切断・封止
ウェハ上で電気的に検査し、切り分けてパッケージに収める。
歩留まりという概念
これだけの工程を経ると、必ず欠陥が入る。ウェハ上にランダムに欠陥が散らばると考えると、1個のチップ(ダイ)が大きいほど、その中に欠陥が入る確率が高くなる。
面積が2倍になれば、欠陥に当たる確率もおよそ2倍。良品率は指数的に落ちる。だから大きなダイのチップは、面積比以上に高価になる。ハイエンドGPUが極端に高いのは、性能だけでなくこの歩留まりの効果が大きい。
これが次章のチップレットにつながる。「1個の大きなダイ」を「小さなダイの寄せ集め」にすれば、歩留まりが劇的に改善する。
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