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教科書 › 第I部 半導体の理論
CHAPTER 06

論理から演算器へ

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スイッチが手に入ったので、ここから論理を組み立てる。

CMOSでは、pMOSとnMOSの並べ方を変えることで、NAND(両方1のときだけ0)やNOR(両方0のときだけ1)が直接作れる。そしてNANDだけがあれば、AND・OR・NOT・XORのすべてが構成できることが知られている。これを完全性という。実際の設計では速度と面積の都合で複数種類が使われるが、原理的にはNAND1種類で足りる。

足し算をつくる

1ビットの足し算を考える。0+0=0、0+1=1、1+0=1、1+1=10(2進数)。最後だけ桁が上がる。つまり出力は「その桁の値」と「繰り上がり」の2つになる。前者はXOR、後者はANDで表せる。これが半加算器である。

下の桁からの繰り上がりも受け取れるようにしたものが全加算器で、これを桁数分だけ並べれば任意のビット幅の加算器になる。掛け算は、シフトと足し算の繰り返しで実現できる。だから乗算器は加算器の集合体だと考えてよい。

第II部で出てくる「掛けて足す(MAC)」も、突き詰めればここで作った加算器が並んでいるだけ。AIチップの中身は、驚くほど素朴な回路の大量並列。

記憶をつくる

計算だけでは足りない。途中の値を覚えておく必要がある。2つのNANDの出力を互いの入力に戻すと、状態が固定される回路ができる。これがラッチであり、クロックに同期させたものがフリップフロップになる。

ここまでで、計算する回路と、記憶する回路が揃った。あとはこれを膨大な数だけ並べ、配線でつなぐ。それがプロセッサである。

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