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体系LLM — 大規模言語モデル
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事前学習データの作り方 — Webから教科書品質へ

「大量のWebデータで学習した」の一行の裏には、本文抽出・品質フィルタ・重複除去・混合比という4つの工程がある。CommonCrawlという砂利の山から教科書品質の文章を選り分ける仕組みを、MinHashの式から現場で触るパラメータ名まで1から解説する。

対象textタスクpretraining

The Pile: An 800GB Dataset of Diverse Text for Language Modeling


砂金採りの話から始める

モデルカードには「大量のWebデータで事前学習した」と一行あるだけです。その裏には、たいてい数ヶ月分の地味な選別工程が隠れています。

川で砂金を採る作業を思い浮かべてください。バケツ一杯の砂利を水に沈めて揺すり、軽い砂を流し、重い粒だけを残す。事前学習データのパイプラインがやっているのはこれで、違うのは砂利が数百テラバイトあることだけです。同じアーキテクチャ・同じ計算量でも、食べさせたデータが違えば出来上がるモデルは別物になります。

素材 — CommonCrawlという砂利の山

Web全体を自前でクロールできる組織は多くありません。多くのモデルの出発点は、非営利団体 Common Crawl が公開しているWebアーカイブです。おおむね毎月1回の巡回結果(snapshot)が公開され、1回あたり数十億ページ規模になります。

配布形式は3つ。WARC(HTTPのやり取りの生ログ。HTMLがそのまま入る)、WAT(メタデータだけ)、WET(タグを外した素朴なテキスト)です。

一番手軽なのはWETですが、ここが最初の分岐点になります。WETの抽出は、ナビゲーションメニューも著作権表示も広告も区別なくテキスト化します。本文が3行のページから200行のメニューが取れてしまう。だから品質にこだわるデータセット(FalconのRefinedWeb、HuggingFaceのFineWeb)はWETを捨て、WARCのHTMLから trafilatura のような本文抽出ツールでやり直します。上流の抽出品質が、全工程の天井になります。

桁を掴んでおく

必要なトークン量の目安はスケーリング則を1から解説のとおり、パラメータ1つあたり20トークン前後。一方RefinedWebの報告では、URLフィルタ→本文抽出→言語判定→品質フィルタ→重複除去を通すと元の1割前後しか残りません。9割は捨てる前提で組みます。

もう一つの壁が計算量です。10億文書を総当たりで比べれば比較回数は約5×1017回。1秒に10億回比較できても15年以上かかります。

FIG 1文書数nに対して総当たり比較はO(n²)で伸びる。nを大きくすると線形との差が「倍」ではなく「桁」で開く。重複除去に近似手法が要るのはこのため

O(n²)が無理だと分かった時点で方向は決まります。総当たりをやめ、似ている候補だけを先に絞る。

第1の関門: 品質フィルタ

本文を取り出したら、次は「読むに値する文章か」を判定します。下にいくほど賢く、そして重くなります。

(1) URLレベル — ドメインのブロックリストでアダルト・スパム・自動生成サイトを丸ごと落とす。1バイトも読まずに済む最安の工程です。

(2) 言語判定fastText の言語識別モデルでスコアを出し、閾値を超えたものだけ残す。RefinedWebは英語のスコア0.65以上が条件です。閾値を上げると純度は上がりますが、コード混じりの技術文書や多言語ページが落ちやすくなります。

(3) ルールベース — DeepMindのGopher論文が公開したフィルタ群が事実上の標準です。単語数が極端、平均単語長が3〜10文字を外れる、記号と単語の比率が高すぎる、行の大半が箇条書き記号で始まる、基本的なストップワード(the, be, to, of, and, that, have, with)が2語も含まれない、といった条件で落とします。

このルール群は、内容の良し悪しを判定していません。見ているのは「壊れた文書の形」です。キーワードを羅列したSEOページ、文字化け、商品リストだけのページは、読まなくても形で分かります。

(4) 統計・学習ベース — CCNetはWikipediaで訓練した5-gram言語モデル(KenLM)でパープレキシティを測り、文書を3層に振り分けました。さらに進むと分類器を使います。GPT-3は人手でキュレートされたテキストを正例、素のCommonCrawlを負例として分類器を訓練。FineWeb-EduはLLMに「教育的価値があるか」を採点させ、その採点で軽量な分類器を訓練して1.3Tトークンを抽出しました。副題の「教科書品質へ」はこの流れです。

ただし禁止語リストが特定の方言やコミュニティの文章を不均衡に落とす、という指摘もあります。フィルタの設計は、そのままモデルが見る世界の偏りになります。

この先にあるもの

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参考文献

  1. The Pile: An 800GB Dataset of Diverse Text for Language Modeling. arXiv:2101.00027論文ページ·PDF
  2. Deduplicating Training Data Makes Language Models Better. arXiv:2107.06499論文ページ·PDF
  3. The RefinedWeb Dataset for Falcon LLM. arXiv:2306.01116論文ページ·PDF
  4. Scaling Data-Constrained Language Models. arXiv:2305.16264論文ページ·PDF

本記事は上記論文の本文にもとづいて執筆しています。数値・主張は原典を優先してください。

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