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体系確率・統計
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AIのための確率・統計 — モデルの出力は確率である

分類モデルもLLMも、返しているのは答えではなく確率分布です。分布・期待値・条件付き確率・ベイズの定理を記号から説明し、山場として「最尤推定がなぜ損失関数になるのか」を導きます。交差エントロピーもMSEも、発明されたのではなく出てきたものです。

対象textタスクmath

ゴール: この式を読めるようにする

学習の目的を書き下すとき、論文はほぼ必ずこの形を使います。

L(θ)=E(x,y)D[logpθ(yx)]\mathcal{L}(\theta) = -\,\mathbb{E}_{(x,y)\sim\mathcal{D}}\big[\log p_{\theta}(y \mid x)\big]
(1)

この式が言っているのは要するに、データを見せたとき、モデルが正解にどれだけ高い確率を割り当てられたか。その対数の平均に、マイナスを付けたものです。θ\theta はモデルのパラメータ、E\mathbb{E} は平均、D\mathcal{D} はデータの出どころ、\sim は「そこから取り出す」、pθ(yx)p_{\theta}(y \mid x) は「入力 xx を見たときモデルが yy に与える確率」、縦棒 \mid が「〜という条件のもとで」です。

見慣れない記号が多いだけで、中身は難しくありません。そしてこの式が読めると、分類の損失も言語モデルの損失も、同じ1本の式の変形だと分かります。

モデルが返しているのは「答え」ではない

まずここを崩さないと先へ進めません。分類モデルは「猫」と答えているのではなく、全クラスに対する確率の一覧を返しています。猫0.82、犬0.15、その他0.03。表示のとき一番大きいものだけを見せているので、答えを1つ返しているように見えるだけです。

言語モデルも同じで、次の1トークンについて語彙全体(数万本)の確率の棒グラフを毎回作っています。この一覧を作る関数が softmax です。

pi=exp(zi)jexp(zj)p_i = \frac{\exp(z_i)}{\sum_{j} \exp(z_j)}
(2)

ziz_i はモデルが最後に出す生のスコア(ロジット。正の数とは限りません)、exp\exp は指数関数、分母は全項目ぶんの合計です。

この式が言っているのは要するに、大小関係を保ったまま、全部を正の数にして、合計が1になるように割り直すということ。確率を名乗るには「0以上」「合計1」の2条件が要るので、exp\exp で前者を、割り算で後者を満たしています。それ以上の思想はありません。

FIG 1同じロジットでも、温度を下げると分布が1点に尖り、上げると平らになります。尖った分布=自信がある、平らな分布=迷っている。この「尖り具合」が後で決定的に効いてきます

期待値: 「平均」の正式な書き方

E[X]=xxp(x)\mathbb{E}[X] = \sum_{x} x\,p(x)

XX は値が確率的に決まる量、p(x)p(x) はその値が出る確率です。この式が言っているのは要するに、起こりやすさで重み付けした平均。1が90%、100が10%で出るなら、期待値は単純平均の50.5ではなく 1×0.9+100×0.1=10.91 \times 0.9 + 100 \times 0.1 = 10.9 です。

論文で E\mathbb{E} を見たら、「データ全体で平均を取れ」という指示だと読めば9割合っています。実装では全データを見るのは重いので、ミニバッチの平均で代用します。式(1)の E\mathbb{E} もこれです。

条件付き確率: 言語モデルがやっているのはこれ

p(yx)p(y \mid x) は「xx が起きたという条件のもとで yy が起きる確率」です。傘の売上を単独で予測するのは難しくても、「雨が降っている」という条件が付けば話が変わる——条件付き確率は、この「情報が加わると見通しが変わる」を数式にしたものです。

言語モデルはこれを直列につないだだけの装置です。

p(x1,x2,,xT)=t=1Tp(xtx<t)p(x_1, x_2, \ldots, x_T) = \prod_{t=1}^{T} p(x_t \mid x_{<t})
(3)

\prod(パイ)は「全部掛ける」、xtx_ttt 番目のトークン、x<tx_{<t} は「それより前のトークン全部」です。

この式が言っているのは要するに、文章全体が生まれる確率は、1語ずつ「ここまでの文脈のもとで次にこれが来る確率」を掛け合わせたものだということ。モデルが計算しているのは右辺の各因子だけで、文章生成とはそれを順番に引いていく作業です。「次の単語を当てているだけ」という説明の正体がこれです。

は仮説(モデルのパラメータ)、 は観測データです。 は事前分布(見る前の思い込み)、 は尤度(その仮説だとこのデータがどれくらい起きやすいか)、 は事後分布(見た後の思い込み)、 は合計を1にするための割り算です。

この先にあるもの

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