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体系推論・高速化
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論文解説: Language Models Can Control Their Own Attention — モデルに「どこを見るか」を宣言させる

長文脈のデコードでは、モデルは毎ステップKVキャッシュを丸ごと読み直している。Declarative Attention は、モデル自身に思考の中で「次はどこを見る」と宣言させ、推論エンジンがその宣言からアテンションマスクを作る。既製モデルにゼロショットで適用して注意トークンを52.0%/31.1%削減した論文を解説する。

対象textタスクinference

Language Models Can Control Their Own Attention

一次資料 — この記事の根拠

論文の発表 2026-09-02この解説の公開 2026-09-05同月

Language Models Can Control Their Own AttentionNamgyu Ho, Huzama Ahmad, Woosung Koh ほか · 2026-09-02 · v1arXiv:2609.02737論文ページ·PDF
原文の要旨(Abstract)を読む

Language models spend most of their attention on a small fraction of context, yet they read the entire KV cache to find the few tokens that matter. If the user asks about a previous detail in a 1M-token conversation, global attention layers must scan the full context to generate each token of the reply. A prominent approach mitigates this cost by pre-selecting relevant tokens via lightweight proxy scores, but this extrinsic scoring still incurs O(N) per step. We take an intrinsic approach motivated by the simple question: wouldn't the model already know which parts of the context are relevant? To this end, we introduce Declarative Attention (DA), a protocol that elicits the model to declare where it needs to attend within its chain-of-thought, partitioning generation into three modes: <global> (full context), <focus> (a specific region), and <local> (recent output only). The inference engine parses these declarations like tool calls and skips most of the KV cache read. Under zero-shot evaluation across 15 long-context tasks, DA on off-the-shelf models (Gemma-4-31B, Qwen-3.6-27B) significantly reduces total attended tokens during decoding (52.0%, 31.1%) with modest accuracy drops (1.27pp, 2.75pp) that shrink with model scale. DA unlocks a new axis of sparse attention, with further potential under training-based methods that future work can explore.


100万トークンの資料を、一言ごとに全部めくり直す司書

机に1万ページの資料が積まれているとします。読者が「この会社は設立から何年で上場したの?」と尋ねる。司書は1ページ目から最後までめくって「8」と言い、次の「年」という一言のために、また1ページ目から全部めくり直す。

長い文脈を読む言語モデルがデコード(1トークンずつの生成)でやっているのは、ほぼこれです。今回読む論文の原題は "Language Models Can Control Their Own Attention"(arXiv:2609.02737、KAIST AI と Google DeepMind、2026年9月2日公開)。

論文の主張を要約します。言語モデルは注意(attention)の大半を文脈のごく一部に集中させているのに、その「効く数トークン」を見つけるためだけにKVキャッシュ全体を読んでいる。有力な緩和策は軽量な代理スコアで関連トークンを事前選別するものだが、その外在的なスコア付け自体が1ステップあたり O(N)O(N) かかる。ならば内在的にいこう——モデルはもう、どこが関連するか知っているのではないか。そこで著者らは Declarative Attention(DA、宣言的アテンション) を導入する。モデルに思考の連鎖(chain-of-thought)の中で「どこに注意する必要があるか」を宣言させるプロトコルで、生成を <global>(全文脈)、<focus>(特定の領域)、<local>(直近の自分の出力のみ)の3モードに分ける。推論エンジンはこの宣言をツール呼び出しのようにパースし、KVキャッシュ読み出しの大半をスキップする。15個の長文脈タスクでのゼロショット評価では、既製モデル(Gemma-4-31B、Qwen-3.6-27B)のデコード時の総注意トークン数をそれぞれ52.0%、31.1%削減し、精度低下は1.27pp、2.75ppにとどまった。この差はモデル規模が大きくなるほど縮む。

なぜ「全部読む」ことになるのか

長文脈ではKV(Key-Value)キャッシュへのメモリアクセス遅延が生成時間を支配します。論文の例では Qwen-3.5-397B-A17B の100万トークン文脈で1シーケンスあたり約15GBのKVを毎ステップ読み込む必要があり、モデルの17Bのアクティブパラメータを読むのに匹敵する帯域要求です。実測では注意スコアは文脈のごく一部に集中するのに、なぜ全部読むのか。本当の注意スコアは事前には分からないからです。スコアは注意行列を全部計算した後にしか手に入りません (§1)。KVキャッシュ自体はKVキャッシュを1から理解するで扱っています。

FIG 1注意の重みはsoftmaxで作られる。分布が尖ればごく一部のトークンだけが実質的に効く——これが「注意は疎である」の正体

これまでの回避策と、その限界

先行研究は「注意が集まりそうなトークンを予測し、それ以外をマスクで外す」方向で戦ってきました。初期の静的ヒューリスティック(直近性や過去の注意量)はこれから来る質問が必要とするトークンを先読みできず、長文脈性能を落とします。より新しい手法は各ステップでKVキャッシュ全体を軽量にスキャンしてマスクを近似しますが、1ステップの計算量は依然として次の通りです (§1)。

選別コスト=O(N)\text{選別コスト} = O(N)
(1)

式(1)は「どこを見るか決める作業の重さが、文脈トークン数 NN にそのまま比例する」という意味です。100万トークンなら、選別のためだけに毎ステップ100万トークン分を触る。ここが本論文の出発点です。

DAの3モード: モデルに宣言させる

言語モデルは隠れ状態に未来のトークンの情報を持っており、chain-of-thought はその潜在的な計算を読めるテキストとして表に出します。DAはこれを「何を考えるかの指示」から「どこに注意するかの指示」へ拡張します (§1)。

<global> は全ての文脈セグメントに注意する探索のモードで、次に集中すべきセグメントとその理由を短く述べる。<focus> はタグで名指しされたセグメントだけに注意する精読のモードで、必要な値を逐語的に抜き出す。<local> は文脈セグメントに一切注意しない自己完結した推論のモードで、すでに応答に取り出した値だけで最終回答を組み立てる。どのモードでも質問・指示・自分の応答は見えたままで、変わるのは「長い入力のうちどこが見えるか」だけです (§2)。

<global>
設立年と上場年が要る。会社沿革は Magic Chunk 2 にあるはずだ。
</global>

<focus magic_chunks="2"> "Acme Corp was founded in 2003 in San Jose." </focus>

<local> 2011 - 2003 = 8 years. </local>

<answer> 8 years </answer>

読める。ここが肝で、マスクを決めているトークンと人間が監査できるトークンが同一です。DAは補助スコアラーを必要とせず、学習なしで既製モデルの上で動きます(Figure 1)。

実装の肝はブロック整列です。vLLMはKVキャッシュを固定サイズのブロック(典型的に16〜32トークン)で保持し、カーネルはブロック単位で読みます。したがってマスクが時間を節約するのはブロック丸ごとをスキップできたときだけで、散らばった個別トークンを落としてもメモリ読み出し量は変わりません。状態機械は保持区間をブロック境界の外側に丸めるので宣言されたトークンは落ちず、結果は通常のブロックリストなので [FlashAttention](/ja/a/flashattention-explained/) のような既存カーネルがそのまま動きます。統合はメタデータビルダへのフックのみで、カーネル改変もスケジューラ変更もありません。適用先はグロ

この先にあるもの

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参考文献

  1. Namgyu Ho, Huzama Ahmad, Woosung Koh, Se-Young Yun et al.. (2026-09-02) Language Models Can Control Their Own Attention. arXiv:2609.02737論文ページ·PDF

本記事は上記論文の本文にもとづいて執筆しています。数値・主張は原典を優先してください。

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