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論文解説: GigaBrain-0.7 — 3万7千時間の身体経験と「3つのシステム」で動くロボット基盤モデル

ロボット基盤モデルを「理解」「予測・評価」「行動」の3システムに分け、37,256.98時間の身体データで一段階事前学習する設計を、論文本文だけを根拠に1から解説する。未来画像と進捗値で方策を条件付ける仕組み、勾配を絞って流すSoft KI、実機での成功率まで。

対象imageタスクgeneration

GigaBrain-0.7: Scaling Embodied Foundation Models to Emergent Capabilities with a Three-System Architecture

一次資料 — この記事の根拠

論文の発表 2026-08-16この解説の公開 2026-08-27同月

GigaBrain-0.7: Scaling Embodied Foundation Models to Emergent Capabilities with a Three-System ArchitectureGigaBrain Team, Angen Ye, Axiang Sun ほか · 2026-08-16 · v1arXiv:2608.15875論文ページ·PDF
原文の要旨(Abstract)を読む

Vision-language-action (VLA) models have become a dominant paradigm for generalist embodied agents, demonstrating strong complex and long-horizon task completion in structured settings. Yet it remains an open question whether current VLA systems can benefit from more effective architectural design, scale to substantially larger and more heterogeneous data regimes, and achieve broader generalization across tasks and embodiments. To this end, we present GigaBrain-0.7, an embodied foundation model with substantially improved generalization across diverse robot embodiments. Specifically, GigaBrain-0.7 unifies understanding, prediction, and action through a three-system architecture, scales pretraining to over 37,000 hours of heterogeneous embodied data, and introduces one-stage alignment training that jointly optimizes vision-language understanding and multi-embodiment action generation. Compared with the preceding GigaBrain-0 series and prior state-of-the-art models including $π_{0.5}$, GigaBrain-0.7 achieves substantial improvements in foundation zero-shot capabilities, language-conditioned instruction following, and post-training task success rates. In particular, on our in-house Maker H01 platform and mainstream robot embodiments, GigaBrain-0.7 demonstrates strong task adaptability and completion ability across both home and industrial scenarios. All training code and pretrained model weights will be released.


シャツを畳めないロボットの話

「そこのシャツを畳んで」。人間なら数秒で始められるこの依頼が、ロボットには桁違いに難しい。理由は3つあります。シャツは掴むたびに形が変わるので、覚えた軌道をなぞるだけでは通用しない。途中の見た目が何度も似た状態に戻るので、「いま何回目のどの段階なのか」が1枚の画像からは分からない。そしてうまくいっていないときに、それを自分で気づいて立て直す必要がある。

いま主流の解き方は VLA(Vision-Language-Action)、画像と言語を理解する大規模モデルに行動を出させる方式です(TurboVLAの解説)。論文の問題意識はその先にあります。現在のVLAは観測から反応的に行動を出すところに留まり、これから何が起きるかを予測する仕組みも、いま自分がうまくやれているかを評価する仕組みも、ほとんど持っていない(§1)。GigaBrain-0.7 は、この穴を役割の違う3つのシステムで埋めようとした論文です。

比喩: 厨房の3人組

この設計は、忙しい厨房を3人で回す様子に置き換えると掴みやすくなります。

論文の言葉では順に理解と計画、予測と評価、行動と制御。中身は System 2 が PaliGemma2(3B)のVLM、System 1 が同じ PaliGemma2(3B)に Action Expert(0.5B)を足したもの、System 3 は GigaWorld-1 を土台にした5Bのワールド・バリュー・モデルです(§4)。

肝は、3人が別々の目的関数で訓練され、決まった形式でしか情報をやり取りしない点。System 2 が渡すのは「次にやるべきこと」の文、System 3 が渡すのは「未来の画像1枚」と「進捗が上向きかの0/1」だけです。曖昧な内部表現を丸ごと流さないので、どこが効いてどこが壊れているかを切り分けられます。

「土台を大きくすれば強くなる」ではない

では System 1 の土台にどのVLMを置くべきか。論文は PaliGemma2(全体3.5B)、Qwen3.5(5B)、Gemma 4(8.5B)を実機タスクで比べています(§6.2, Tab. 4)。結果は素直ではありません。Gemma 4 は机の片付けと果物掴みで最良の成功率を出す一方、シャツ畳みは 0%。非ゼロ(30%)を残したのは PaliGemma2 だけで、論文はこれを根拠に PaliGemma2 を採用しました。

ただし論文自身が注記するとおり、この比較はサイズと画像解像度が同時に違うため統制されたスケーリング実験ではありません(Tab. 4 注)。それでも、この論文が投資先に選んだのがバックボーンの巨大化ではなく、データ役割分担の側だったことは読み取れます。

FIG 1容量(次数)を上げると訓練誤差は下がり続けるが、未知データでの誤差はある点から悪化する。「土台を大きくすれば汎化する」わけではない、という直感を手で確かめられる

データ: 37,256.98時間をひとつの型に揃える

クリーニング後の身体軌跡データは合計 37,256.98時間。実機ロボット 20,535.65時間(55.12%)、UMI(手持ち治具による人間のデモ)8,251.83時間(22.15%)、EGO(一人称視点の人間映像)2,862.36時間(7.68%)、シミュレーション 1,453.92時間(3.90%)、ワールドモデル生成 4,153.22時間(11.15%)。実機だけで 16機種・1,810,101エピソード・2,077,837,071フレーム、これに 271,976,674件の画像テキスト/VQAサンプルが並走します(§3.1)。

異種データは混ぜるだけでは干渉するので、揃える工程が細かく決まっています。フォーマットは LeRobot v3.0、次元順は「左腕→右腕→頭→腰→脚または台車」に固定、回転は連続6D表現、言語指示は GLM-5.1 で正規化(§3.2)。クリーニングは q01/q99の外れ値除去(分位点正規化を使うため、極端値が正常な行動信号を狭い範囲に潰す)、長い静止区間の除去、URDFを揃えた姿勢定義の統一、そして学習損失が異常なサンプルを元動画まで遡って除外するの4段構えです。

System 1 は、視覚言語(VL)の流れと Action Expert(AE)の流れを層ごとに並走させる Mixture-of-Transformers です(§4.2)。VL側は事前学習済みVLMの自己回帰インターフェースを保つため因果的自己注意のまま、AE側は両方の流れを連結したものへ双方向に注意を向けます。

この先にあるもの

§

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参考文献

  1. GigaBrain Team, Angen Ye, Axiang Sun, Can Jin et al.. (2026-08-16) GigaBrain-0.7: Scaling Embodied Foundation Models to Emergent Capabilities with a Three-System Architecture. arXiv:2608.15875論文ページ·PDF

本記事は上記論文の本文にもとづいて執筆しています。数値・主張は原典を優先してください。

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